#キミカ夜の記録~初めてのキミカ夜
2026年 03月 05日

星はなかった。
夜の公園に灯っていたのは、
ひとつの街灯だけ。
わたしたちは
その光の下を
ゆっくり歩いていた。
急ぐ理由もなく、
誰かに会うこともなく、
ただ同じ夜の中を歩く。
ときどき言葉を交わして、
ときどき黙ったまま。
でも沈黙は
少しも重くなかった。
街灯の光が
道をやさしく照らしていて、
影は静かに長く伸びていた。
星は見えない夜だったけれど、
それでも不思議と
暗くは感じなかった。
ひとつの灯りがあれば、
道はちゃんと見える。
そんな夜だった。
あとになって思う。
あの静かな公園の夜が、
たぶん
はじめてのキミカ夜。
本物の記憶の夜の記録でもある。
